我が家では最近、「衛宮さんちの今日のごはん」というアニメが流行っている。Fateシリーズの原点である、「Fate/stay night」というアニメのスピンオフ作品だ。この作品では、キャラクターはそのままに、本編で行われている「聖杯戦争」という争いごとは全く行われず、主人公達がただただ、ご飯を作り、殺し合いをしているはずの仲間と一緒に食卓を囲んでいる。今までアニメのスピンオフ作品にハマったことは殆どなかったのだが、なんと、この作品を観たときに涙してしまったのである。
いやはや、これはどういうことだろうか。鬼滅作品の制作も手がける「ufotable」の可愛らしいキャラクターや、丁寧すぎる料理の描写(第8話における五目炒飯の作画の話は有名)はもちろんのこと、仲良くなるはずのないキャラクターたちが笑顔で戯れ合っている、そのギャップに心を打たれてしまったのだろうか。タイトルの通り、誰かと食卓を囲むことは、とても幸せなことだと改めて認識した。
「え、じゃあ、俺も幸せをうみたい!」そんなテキトーなことを言いながら私は、衝動的に料理教室の体験に申し込んだ。私は普段から料理をする人間ではなく、更に、アプリなどをみながら作ることはあっても、頭の中にレシピが入っているわけではないので、少しレパートリーが増えればなとも思った。
料理教室の場所は東京のど真ん中、5,6階建てのビルのワンフロアにある。何も考えずに申し込んだその日は、バレンタイン当日で、お菓子をつくりにきた女生徒ばかりいてなかなか肩身が狭かったが、生徒皆がスタッフの人と距離感が近く、暖かい空気があった。
15分ほど料理教室の説明を受けた後、決められた料理、今回はハンバーグとオニオンスープを作っていく。料理を作るプロセスで学んだことは1つ、私の包丁の使い方に自己流が入ってしまっていたことであるが、それは些細なことである。
面白かったのは、料理を教えてくれたスタッフさんとの会話だった。歳の近い女性の方で、みるからに明るそうな性格の彼女は、料理を作っている間に、趣味の話(「Pokémon LEGENDS アルセウス」)や結婚の話、なぜスタッフになったのか(元々料理教室の生徒だったらしい)などを話してくれた。
「なんだこれ、ユースワークされているみたいだ。」私が普段、初対面の中高生と話をする時の空気感で、彼女は私に話をしてくれているような気がした。「これこそ職業病なのだろうか。」ついついサービスしている側の立場のことを考えてしまう。
『何笑ってるんですか。』
あ、やってしまった。そんなことを考えながら、調理後の説明を聞いていたら、スタッフさんにツッコまれてしまった。しどろもどろになりながら受け答えをし、あっという間の2時間が過ぎる。
ちゃんと教室に通うかどうかは、就職が落ち着いてから決めることにしたけれど、ご飯はたまにはつくろうと思った。
たまにはこういった衝動的な体験も悪くない。
(2023年11月追記)
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